少し前の話。
あの人は俺のことを優しく抱きしめて任務へと向かっていった。
―――でも帰ってきたあの人は
優しさの欠片もない昔の彼に戻ってしまっていた。





―――CertAiN LOve...









「綱吉。」

無駄に広く豪華な部屋に綺麗な低音の声が響く。

「―恭、さん。」

懐かしい。
こんな声を聞くのは十年ぶりぐらいだ。

俺のことを草食動物と呼び愛もなにもなかったあの頃…

「退屈。」

でも、楽しかった。
皆がいてキラキラ輝いていた。

「…仕事しますか??」
「そんなの嫌だよ。」

なのにどうしてこんなことになってしまったのだろう。


「君が、欲しい」


腕を力強く掴み椅子から引きづり降ろす。
乱暴にソファに押し倒し
しっかりとしたスーツのボタンを引きちぎる。

「あーあ…これ高かったのに」
「…いいの??そんなに余裕で」
「もう、慣れましたよ。」
「そう。」

彼が帰ってきてから約数ヶ月。
彼は何度も何度も俺のことを乱暴に抱いた。
初めは苦しくて苦しくて
その度に大量の涙を溢した。
でも今はそれさえも渇れ果て

"どうでもいい"

そんな気持ちだけが残った。


「ふ…ぁ…ッ!!」

不意に溢れ落ちる声に
言葉にならない悲しみが身体中に響き渡る。
何故か今日に限って彼は優しく俺を抱きしめた。

その優しさが
忘れかけていた感情を思い出させる。

"嫌だ"

"返して"

こんなことを思っても無駄だとわかっていた。
ただ苦しいだけなんだって、だけど

堪えきれなかった。

渇れ果てたはずの涙が紅く染まる頬を伝う。
その涙に彼は動きを止めた。

「何で、泣くの。」
「………」
「僕が、嫌い??」

言葉は何も出てこなかった。
ただ、首を横に振るだけ

その姿に苛立ちを感じた様で彼は俺の頬を強く叩く。

「何で…何で僕を嫌いにならない!?
 こんな酷い男…捨ててしまえばいいのにッ!!」
「―――…恭…さ…」
「―――ッ!!」

何度も何度も頬を叩かれる。
何回か意識が飛びそうになった
でも必死で耐えただ彼の瞳を見つめていた。


「…ばいばい。」

手を止めた彼は静かに言った。
ただのさよならじゃない

"もう会わない"

そうゆう意味の、さよならだろう

…苦しかった。
嫌いになってもおかしくない程、でも

―――僕たちはずっと一緒にいた。
一緒に居たかったから。
離れたくない、一緒に居たい。


「―――恭さん!!」
「…何。」
「…また、明日。」


こちらを振り返り信じられないと言った様な顔をする。


「僕と居たって苦しむだけだ」
「それは俺が決めます。」
「…僕は!!あの場所に全てを置いてきた。
 優しさの欠片もない…君のことを物としかッ」
「無くなってしまったなら!!」

「…もう一度創ればいいじゃないですか。
 貴方が無くしてしまっていても、俺は持っています。」
「―――…僕は、君の大切なモノを奪ってしまった!!
 約束したのに…絶対助けるって!!」
「約束??貴方は守ってくれた。」
「皆死んでしまった!!」
「それでも貴方は生きている」


彼には綱吉の言った言葉が信じられない様だった。
ずっと感じていた罪を綱吉はあっさりと否定してしまった。


「…そりゃ皆居なくなってしまって凄い悲しい。
 もし恭さんが居なかったら自殺してるかもしれません。」

「でも、貴方が居たから」


俺はそれだけで



―――急に、目の前が真っ暗になった。
気づけば頭から沢山の血が流れていた。
怪我でもしたのかな??
…遠くから声が聞こえる。

もう大丈夫かな??

そんな気がした。



「―――…ょし、綱吉!!」


目を開けた先に見えたのは帰ってきた彼の顔
珍しく涙でぐしょぐしょにして
想像できませんよまったく…


「僕は…―――」


何かを言おうとした彼の唇にそっと手を添え首を振る。

"大丈夫"

それだけが伝えたくて


「…ぉかえり…恭さ、ん。」
「…ただいま…ッ」




――思イ続ケレバ "心"ハ伝ワル

             疑イ無キ愛 "certain love"






大分昔に書いたような気がする。
何って、ツナに恭さんって言わせたかったダケ←

昔1869で書いてたものを1827に改造
なんか10年後のこうゆうネタ多いですね...